「パートナーシップ条例」検討部会に見るプロの行政職員とは?
2月5日〈木〉午後、横浜駅西口近くの県民活動サポートセンターに出かけました。「NPO等と神奈川県との協働推進会議」の中の「県民パートナーシップ条例(仮称)検討部会」のメンバーとしての参加です。
昨年10月以降、県内8か所において「協働型社会・神奈川の実現に向けて」と題した県民フォーラムが開催されました。小田原会場(11月17日)で私はフォーラムのコーディネーターをつとめました。
この日は、県民フォーラムの実施結果の報告と、「条例素案」づくりに向けた論点の整理、今後のとるべき方向を議論しました。さまざまな県民の意見を集約し、条例検討部会の議論のための基礎データを整えることは、如何に仕事とはいえ、限られた時間の中では困難をともなうだろうと思います。
事務局担当である神奈川県県民部NPO協働推進課の職員は、それこそプロの行政マン・ウーマンとしての熱意と理論構築で、先進的な条例づくりに知恵を出しています。私たちNPOや企業などのメンバーも、一人ひとりの県民目線で、これからの神奈川のあるべき姿を描きながら参画しています。今回の条例づくりそのものに、県民と行政とのパートナーシップが問われているのです。
「パートナーシップ条例」づくりは、これからの神奈川の地域を創造的につくり出す手法としての、「協働型社会・神奈川」を目指した県民・企業・県との新しい関係性、それぞれの責務を盛り込むものです。この条例には、「協働型社会」に向けた県民へのメッセージを「前文」として是非とも入れたいと、検討部会のメンバーは議論を重ねてきました。
事務局は、法制担当との協議の中で、条文化に際して、さまざまな課題を突きつけられました。これまでの検討部会の議論を踏まえ、紆余曲折を経て、この日、「前文」を入れるための前提条件が初めて方向性として示されたのです。条例検討部会のエポックメーキングの日ともなりました。
この日の朝日新聞「天声人語」に「『ミスター環境』と呼ぶに相応しい官僚がいた」として、旧厚生省の初代公害課長を勤め、産業界や当時の通産省と渡り合った橋本道夫さんの記事がありました。「公務員は身分や給料を保障され、責任や権限を与えられる。冒頭の橋本さんは、その背景を『やれば何か批判攻撃を受けるようないやなことでも、やるべきときにはやるため』と自著に書いている」。プロの官僚の心意気を感じました。
実はこの日は、事務局から「前文を入れるための方向性」が示されなければ、私は、この新聞記事を引用しながら「プロの行政職員」とは何でしょうかと、問いかけるつもりでいました。プロとしての「矜持」を辛くも保った県職員の仕事・奮闘に、この言葉を私は飲み込みました。
この日の議論の中には、他の課題の条例づくりに加わった検討部会のメンバーの苦い経験も話されました。形だけの県民参加ではない、真に協働のためのパートナーシップ条例づくりには、私たち県民はもちろん、関わる県の職員にもプロの行政職員としての真価が問われるということでしょう。
「パートナーシップ条例」の成案を得るまでには、まだまだ越えなければいけないハードルがたくさんありそうです。心して議論を尽くしたいものです。
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