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棚田学会で内山節さんの講演を聞く

7月18日〈土〉午後、日本橋・三越劇場で「棚田学会」10周年記念大会シンポジウム「里山と棚田を守る―歴史・論理・実践―」が開催されました。

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「棚田学会」は以前から気になっていました。今回の案内をいただき、シンポジウムの報告者の中に内山節さんの名前を見つけて、気持ちが動きました。前日に事務局に連絡して参加することにしました。

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内山さんは「柵田という風土について」と題して40分ほど話されました。そして、いま気になることとして「風土論」を・・・。

戦前期には二つの風土論があり、その一つは、大正デモクラシーの時代への反動として和辻哲郎に代表される日本人のアイディンティティーのつかみ直しに結びついた。それに対峙するものとして、知る人ぞ知る、三澤勝衛の「風土論」を紹介されました。

三澤勝衛は、旧制諏訪中学校の地理学の教師をつとめた人で、近年、農山漁村文化協会から『風土の発見と創造』と題した全集が編まれています。

三澤は、「風土とは、大気と大地がぶつかった所」と独特の表現をしながら、「ミクロの風土の奥深さが、世界を見る基礎を教える。それぞれの地域の風土こそが、かけがえのない自然と人間の営みであり、調和的、持続的な世界をかたちづくる」と、内山さんは紹介し、風土論の新たな方向性を示されました。

内山さんは群馬県上野村と東京に暮らしながら独自な哲学を深めておられる方です。現在も薪で風呂を沸かし、江戸期の農機具で農作業を行っているそうです。上野村でのご自身の暮らしの営みを通して、最近の「棚田が日本の原風景」だとするブームに異を唱えられました。

「それぞれの地域には、『蓄積された歴史』があり、自然・文化・人間・神も仏も一体となった生命的な世界の中に、里山的空間、農業的空間がある。それこそが日本の原風景ではないか。

自然も変わり、人間の営みもまた変わる。すべてのものを保全することはできない。しかし、何かを考えようとしたときに、それがあることによって考える素材を提供してくれるのが風景であり、里山も棚田もそうした意味を持っている」と言うのです。

「私たちはどこに行こうとしているのか?」という内山さんの最初の問いかけが、深く私の中に沈潜して行きました。

シンポジウムは、内山節さんの他に滋賀県立大学教授の水野章二さんの「里山・棚田の歴史と利用」、ホールアース自然学校代表の広瀬敏通さんの「自然学校によって里山・棚田を守る」があり、シンポジウムのサブタイトル「歴史・論理・実践」の内容を深めてくれました。

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水野章二さんです。

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広瀬敏道さんです。

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3人の報告の後は早稲田大学文学部学術院教授・海老沢衷さんのコディネートでパネルディスカッションがありました。さらに交流会では、さまざまな人と出会いました。

2009年の「棚田サミット」が10月16日、17日に新潟県十日町市で開催されます。棚田学会新潟県支部の中村由信さん、県立新潟南高校教諭・新潟大学で地域文化の講師をつとめる竹田和夫さんは、同じ新潟出身ということで親近感が湧きました。

NHK文化センター(前橋教室)支社長の高山承之さんは、NPO法人自然塾丹沢ドン会の棚田復元の取り組みがNHKテレビで放映されたことをご存知でした。大山千枚田の棚田オーナーである萩野宏樹さんは、丹沢ブナ党会員で何回かお会いしていました。

棚田学会会長の中島峰広さん、同副会長の海老沢衷さん、同副会長・ふるさときゃらばんの石塚克彦さん、同事務局の高橋久代さん、東京大学の山岡和純さんなど、初対面ながら「棚田」をめぐって楽しく交流させていただきました。

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『棚田学会10周年記念誌』には100名もの寄稿が寄せられられました。

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