エアコン設置業者の「紺屋の白袴」
この秋一番の冷え込み。早朝の室内は、摂氏11度。西の空には冠雪の富士山がくっきりと見えます。
2週間ほど前のある日、リモコンの電池を換えたり、電源を入れ直したりしましたが、10数年使っていた居間のエアコンが、とうとう「ウン」とも「スン」とも言わなくなりました。
この冬の寒さをどう過ごすか連れ合いと話し合いましたが、結局、買い換えることになりました。電気店を何店か見て回って選んだのは、経済振興策の一つのエコポイントが付いていた某メーカーのルームエアコン。翌週の設置には2人の技術者が訪れました。
壊れたエアコンを取り外し、新しいものを設置します。手馴れた作業を室内と屋外で手分けして進めます。屋外作業を担当していた40歳前後の男性と、作業の手は動かしながら世間話です。どうやら伊豆の出身。いまは町田に住んでいる所帯持ちです。
「電気屋さんは、どこのメーカーのエアコンがお勧め?」
「どれくらいの容量・パワーかで金額は違います。機能的にはそんなに変わらないですよ。自動清掃装置が完全自動か、一部手動か、ヒト・センサーが付いているか、など多機能になるほど高くなるし、故障の原因にもなりますよ」
「機能はシンプルなほうがいいんだ。実際、自分の家ではどこのメーカーのエアコンを使っているの?」
「私のとこは、エアコンはないんですよ」
「ええっ! そうなの。夏はどうしているの?」
「扇風機はあるけど、そんなに暑くないですよ。自然の風が一番。子どもも慣れているみたいだし」
「冬はどうしているの?」
「コタツで十分。冬でも家にいるときは裸足です。寒ければ重ね着すればいいし・・・」
「家族そろって自然児なんだ。仕事ではどんどん電気製品を設置しているけど、随分エコな生活をしているんだね」
「子どものころからそうですから、自分にとっては当たり前ですよ」
「紺屋の白袴」のような話を聞いて、わが暮らしを振り返りました。
もともと窓から入る天然の風が気持ちいいし、夏でも汗をかきながら、暑ければシャツ一枚になって仕事をしていました。でも、さすがに、事務所にお客様を迎えるにはエアコンが必要でした。一度その涼しさに慣れてしまうと、つぎからはエアコンなしにいられません。
そうこうして夏も冬も電気製品の恩恵を受けいれ、それが当たり前になってしまったこの20年余りの夢工房の事務所であり、我が家の居間でした。
エアコン設置業者の「エコ」な一言を聞いてからは、ほんとうに寒い朝晩だけリモコンのスイッチを入れようと思ってはいるのですが・・・。
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