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相模湾の漁師・西山敏夫さんのメッセージ

西山敏夫さんはいつも突然お出でになります。この日、お母さんの実家である秦野市寺山のお墓参りの途中に西山さんはお立ち寄りになりました。

たまたま私は家にいましたが、出掛けていてお会いできず、お土産だけが玄関先にということもたびたび。この日はお会いできた上にサケのお土産までいただきました。ありがとうございます。

夢工房の事務所に上がっていただき、お茶を差し上げました。

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『天の夕顔』の作者・中河与一さんと西山さんの小田原におけるさりげない交友や、そこに登場する直木三十五・野上弥生子・宇野千代などの烈々たる作家たちの言動。

はたまた電力王・松永安左衛門の別荘に出入りしていた呉服屋さんから聞いた松永翁の桁外れの人物像などなど。相模湾の漁師をつづけながら言葉を紡いでいる西山さんならではのお話についつい引き込まれてしまいます。

この日のお話はもう一つ。

東海大学菅生高等学校中等部の学生たちが神奈川への修学旅行の際に、二宮海岸で地引網の体験をしたいと西山さんに旅行社から連絡がありました。その検討材料として西山さんは、漁師をしながら五感で感じた相模湾の危機的状況と人間の身勝手について旅行社に送ったそうです。

この資料を読んだ旅行社の担当者は学校の先生に投げかけ、西山さんの話を学生たちに聞かせたいと、講演会を企画しました。

2009年5月14日、宿泊先の大磯プリンスホテルへ西山さんは出かけました。修学旅行の忙しいスケジュールの合間を縫って講演会は朝早くに組み込まれました。

この日のテーマは「水の惑星・地球よ 永遠に」。西山さんの講演です。

「おはようございます。朝早くからお話させていただけることになり、拙い話を聞いてくださるみなさまに、心より感謝申し上げます。

まず初めにお断りさせていただきますが、小田原で幕末に武士を止めさせられて漁師になって五代目となる西山です。申すまでもなく、地位も肩書きも、金銭も名誉も、学歴もございません。

その私が、漁師であったが故に、鰤が捕れなくなって、捕る漁業から育てる漁業へと転換を志し、海を畑にしてわかめの養殖に取り組んだのが縁で、平成7年以来15年、秋の種苗の植え付けと春の収穫を通じて、2つの幼稚園と2つの保育園で、毎年350人の子どもたちと楽しく遊ばさせてもらっております」

西山さんは、山・川・都会の暮らしと海がつながっていること、かつての戦争や企業の活動、身勝手な人間の暮らし方によって海や自然や生き物たちが、いま大変な状況におかれていることを話しました。

「地球を破滅に追い込むのは原子爆弾などの核だけではない。・・・巨大な体で地球上にのさばっていた恐竜が滅亡したように、脳の発達によって万物の霊長として地球に君臨してきた人間は、このままではいつか1千万種を越える無数の生き物を巻き添えにして、地球を破滅させてしまうだろう。

・・・

みなさん、正々堂々と自分のためだけではなく、人のために世の中のためになるように生きて行ってください。みなさんの力で、どうしょうもなくなった日本は、必ずよくなります。

・・・

生命は一つしかない。それも生んでもらって育ててもらい、一杯教えてもらっての一つです。

君達の未来は洋々と広く、百年先までもある。どうか、地球が永遠に、水の惑星でありつづけられるように、みなさんの力を身近なことの一つ一つを、末永く地球に与えてやってください。みなさんが子孫に遺す最大の遺産となります」

西山さんは、講演の内容をパソコンで打ち出したものを1部お持ちになりました。

「ご自分でパソコンを打たれたのではないですよね? 娘さんがお手伝いされたんですか?」私の問いに西山さんは笑って答えました。

「いやいや、近くの郷土資料館の学芸員が手伝ってくれています」

西山さんの手書きの原稿用紙に刻まれた鉛筆の文字を見慣れている私には、ちょっと違った世界が開けました。西山さんの歩んだ丸ごとを、周囲のさまざまな人たちが表現しようとしています。

西山さんのメッセージは、学生たちや子どもたちに、母なる相模湾の寄せる波のように届けられたと信じます。

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