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「面白い話をありがとう!」

相鉄線の二俣川駅改札口を出てすぐの喫茶店で、この日初めてお会いした宗像盛久さんと本づくりの相談をしました。店内は大盛況で、店の中央部にある楕円形のテーブル席の一角がわずかに空いていました。席と席の間はかなりゆったりとしています。

2人は楕円形の頂点の部分に椅子を寄せて座りました。テーブルには1杯250円のコーヒー。長引く出版不況、加えて現下の経済状況の中で1冊の本を世に送り出すことのさまざまな困難が目の前にあります。

その上で、これから企画する本が果たして世に問う価値があるかどうか、読者対象をどこに置くのか、読者に本を届ける流通の方法、さらにどのように活用してもらうのか、かかる費用など、日ごろ考えている本づくりのあれこれについて大いに語り合いました。

加えて電子書籍の時代とも言われているいま、電子書籍には不可能な紙媒体ならではのメッセージを「本」に込めるためには何が必要かなど、徐々に話は熱をおびてきました。

私たちが席についてほどなく、70歳前後と思われる男性が一人、宗像さんの隣りの席について雑誌を広げました。私たち2人は隣り同士の席ですから、普通の声で十分に会話が成り立っていました。

壁際・窓際の四角いテーブル席には2人連れ、3人連れの人たちもいましたが、仕事の合間や学校帰りにちょっと一息、1人でコーヒーを、というお客さんもまた多いようです。楕円形のテーブル席も、入れ替わり立ち代りのお客さんでほぼ満席状態。

ところが、くだんの男性は、雑誌のページをめくって読書にいそしむでもなく、宗像さんの隣りの席を暖めたままぼんやりの風情です。

1時間半近く話し合いました。さらに企画を練り直し、一部サンプル原稿を起こして、改めてお会いすることに。席を立ち、カウンターにコーヒーカップを持って歩き始めると、先ほどの男性からボソッと声をかけられました。

「面白い話をありがとう!」

突然の声かけに、何と対応したものか。「どうも・・・」と頭を下げるのが精一杯。言葉とは裏腹にひょっとして迷惑だったのかもしれません。

「お騒がせしました」と心の中でつぶやきながら店を出たことでした。

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コメント

隣席の男性の 「面白い話をありがとう」 のお言葉はホントの気持ちだったのでは ないかと思います。
人間関係が希薄な時代に加え 不景気までが プラスした世の中で 誰かの声!! をぼんやりと 聞いていたいそんな風景が 浮かびます。きっと その男性は至福な ひとときを 過ごされたことでしょう。

投稿: 高橋(アルファ) | 2010年2月 4日 (木) 14時32分

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