梶谷泉さん「丹沢今昔橅語り」上演
12月21日、満月の夜、新横浜駅近くの「スペース・オルタ」で影絵夢幻語り「丹沢今昔橅語り」の上演がありました。あいにくの小雨模様で、月は姿を見せませんでした。開演直前に到着すると、会場は多数の参加者でほぼ埋まり、静かに開演を待っていました。
スペース・オルタは、階段状の96の客席を有する小演劇の舞台。演者は、丹沢の自然保護運動の先頭に立っていたブナ党の初代党首で、生命の環・むすびの衆の梶谷泉さん。原作は梶谷泉さん著作の脚本『丹沢今昔橅語り』(2008年12月、夢工房発行)。影絵の制作も梶谷泉さんです。
この日の演目は、「刻之河月舟之旅路」。さきの脚本を1時間半ほどに再構成し、ブナの巫女(梶谷泉)が語り、薩摩琵琶の奏者、仁恵依舟さんがお相手をつとめられました。
案内には次のように紹介がありました。
「江戸時代の原生の自然の中に生まれたブナが天変地異や、人間社会の変容に伴う諸々の辛苦を味わいながら、草木鳥獣虫魚、人の思いを代弁します。
時代は黒船来航から明治維新へ、富国強兵の理想が招く戦世、そして、戦後の欲望の時代では、大気汚染によるブナ枯れとその中でブナ爺も死を迎え、願うのは永遠の生命の循環です。
影絵に映し出されてくる、刻一刻と変わる時の流れを、一人芝居風な語りと臨場感あふれる演奏・謡いにて聴かせます」
映し出される影絵、仁恵依舟さんの演奏・謡いとの絶妙な間合い。丹沢の自然を見守りつづけてきたブナ爺の思いを、ブナの巫女・梶谷さんが言の葉に載せて伝えます。
これまで2回、梶谷さんの「ブナ語り」を鑑賞さていただきましたが、さらに濃密な時間・空間が描き出されたように感じました。
自然を冒涜するものは、大いなる自然の反逆を受け、天に唾する者はわが身にそれを受ける。人間が手を下した自然破壊を止めるのは、私たち人間しかいない。
自然との付き合い方に想いを馳せ、梶谷さんのメッセージを実感させてくれた語りでした。
上演を終え、影絵の操作を担当してくれたメンバー、仁恵依舟さん、梶谷さんのあいさつ。これまでと違うステージへまた1歩、足を踏み出してくれることを予感させる「夢幻語り」でした。
会場には旧知の顔がチラホラと見えました。画家の永井等さん夫妻、写真家の鈴木澄雄さん、この日の映像担当の写真家・小林恵さん、秦野ビジターセンターの長縄今日子さんなどなど。
鈴木さん、梶谷敏夫さんに声をかけられ、打ち上げにお付き合いすることに。
寒波の夜、おおぜいの仲間たちと梶谷泉さんの想いに寄り添い、楽しいひとときを過ごすことができました。
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