岡進さん「はだの風土記」発刊
童話作家・岡進さんの「はだの風土記」を刊行しました。
岡さんとは「ドンドンが怒った 森の動物たちの反乱」(1991年・夢工房発行)以来のお付き合い。伝統的な農村風景を次世代へ引き継ぐ里地・里山の再生・保全活動を共にしてきたNPO法人自然塾丹沢ドン会の仲間でもあります。
「はだの風土記」は、B6判213ページ、定価:本体価格1600円+税=1760円、夢工房発行です。
古代から中世~近代への秦野の歴史と生活文化を鮮やかな筆致で物語りました。
新東名の建設工事の発掘調査により菩提横手遺跡から出土した「中空土器」に触発され、土着の古代人と古層の神々から解き明かします。律令制が敷かれ、中央集権国家に変容する日本の動きとからめながら中世の波多野氏の盛衰や、鎌倉幕府三代将軍・源実朝の右大臣拝賀の礼をめぐる苦悩、公暁に暗殺されたのちの実朝の首の行くへを描きました。小田原北条氏と田原城・田原市場の関わり、富士山噴火の後の天地返しの苦難とともに「日本三大銘葉」の一つともなった秦野における葉たばこ生産。疫病に見舞われた秦野人が取り組んだ進取の気に溢れる陶管水道の建設を、新型コロナウイルス蔓延のいまと時代を行き来しながら描き出しました。
著者の想いは何処に。
「囲炉裏ばたでの昔話、庚申の夜のような講での夜通しの昔語りがないのだから爺としては、一人言を吐き、語り継がねばなるまい。人類は進歩と共に豊かになるはずだった。経済成長が進めば、いつかはみんな豊かになると信じてきた。その豊かさが実感できない。世の中困ったことが溢れている。自然が驕り高ぶる人間に、強烈なしっぺ返しを食らわせたのだ。それも気候変動、パンデミックのダブルパンチだ。地球環境を危機に陥れた資本主義に賞味期限が迫った。はてさて、別の道はどこにある。足下を見直す参考書に本書がなれば良い。」
ご一読ください。
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コメント
藤沢に事務所があります、創業から四五年の地域新聞を発行している会社です。
東京新聞で岡進先生の記事を読ませていただきました。
可能であれば、岡先生に連絡させていただき、実朝についての講演などをお願いできないかと考えています。
どうぞよろしくお願いたします。松川
電話…0466-26-3028
FAX…0466-27-5091
投稿: 江ノ電沿線新聞社 | 2021年8月26日 (木) 12時41分