文化・芸術

第26回透谷祭開催

5月16日、小田原駅近の高長寺で第26回透谷祭が開かれました。

小田原が生んだ詩人・思想家である北村透谷の没後100年のときに「透谷祭」を開催して以来今年で26回を数えます。会の主要メンバーであった井上映画監督、金原左門中央大学名誉教授、児童文学研究者湯山厚さんは、すでに透谷のそばに逝かれ、透谷祭そのものが一つの歴史になりました。

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この日は、60名近い参加者。オープニングは安藤香織さんの歌。北村透谷作詞・雨宮伊之助作曲の「蝶のゆくえ」、正田美智子さん作詞の「ねむの木の子守歌」、北原白秋作詞の「この道」の3曲。

話題提供者3名のレポートの後は、この日の司会・蛭田さん(落語家柳家三三さんの父親)の名進行で参加者のフリートークが時間いっぱいまでつづきました。

来年は、透谷の詩を作曲したもの2曲を安藤香織さんが歌うことも急きょ決まりました。

小田原の文学者たちを顕彰し、伝える市民の活動はこれからもつづきます。

 

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日本画家・宗形辰子さんの野ブドウ

日本画家で、日本美術院院友の宗形辰子さんが、我が家の野ブドウを見においでになりました。

野ブドウの自生地を探していた宗形さん。インターネットの検索で私のブログに行き当たり、ご連絡をいただきました。返信をすると折り返し電話が入りました。

「野ブドウは健在ですか?」

「今年はあまり元気がありません。実の付きが極端に少ないです」

「来年の絵の構想ができました。背景に野ブドウを描きたいのですが、見に行ってもいいですか?」

「どうぞ、お出かけください。とりあえず、野ブドウの写真を送ります」

日程調整の後、とある日の午前、颯爽と車でお出でになりました。早速、我が家の庭の野ブドウへ。

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実物を観察し、写真を撮り終えた宗形さん、2階の事務所で少しお話をお聞きしました。うかがい知れない画家の創作活動の機微を垣間見る思い。12月にそごうで開催される「院展」の招待状をいただきました。

帰り際に宗形さん。

「お願いついでに、野ブドウの先っぽを少しいただいてもいいですか?」

「どうぞ、どうぞ。手折って持って行ってください」

いつの間にか庭に生え、10年近く立ちます。夏場のグリーンカーテンとして暑さがしのげ、画家の創作のお役に立てば、この野ブドウも本望。

どのような絵に仕上がるのでしょう。楽しみです。

宗形さん、ご健筆のほどを!

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「永井等展」最終日に物語の世界へ

3月31日から町立湯河原美術館で開催されていた「永井等展」。1か月近い会期、仕事で小田原に出たついで(?)に行こうと決めていましたが、あっという間に最終日。

小田原のアルファさんに修正済みのデータを戻し、相模湾の海岸線を湯河原に向かいました。町立湯河原美術館に着いたのは閉館10分前。もう少し余裕を持った行動ができないものかと、これはいつも連れ合いに言われていることですが・・・。

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会場では、永井さんが片付けにかかろうとしていました。

「永井さん、遅くなりました。間に合ってよかった!」

「昨日は岡さんが来たし、まだなのは片桐さんだけだね、と話していたところなんです」

染色家のお連れ合いさんが、そばに来てニッコリと頷いています。

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ともあれ作品を鑑賞させていただきました。

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1968年、茨城県ひたちなか市生まれの永井さん。今回の大震災で、一時は開催も危ぶまれましたが、被災者への応援のためにも開催をと・・・。会場に設けた募金箱には義援金が多数寄せられたそうです。

会場には、私の所から運び込んだ永井さんの2作品も飾られていました。事務所の狭い壁面では場違いに感じた作品も、美術館の大空間ではところを得て存在感を示しています。

今回の作品展に際して永井さんは、1枚1枚の作品のほこりを払い、薄化粧を施したと言います。画家の自らの作品に対する愛情を感じました。

一つひとつの作品には、独特の永井ワールドが表現されています。作品に描かれた物語をどのように感じ安らぎを得るのか、今回の作品展を鑑賞する楽しみでした。

永井さんは、絵に託すさまざまなメッセージ、可能性を、時には実験的に新しい技法で、ていねいに描き込みます。一つの作品を仕上げるのに数か月を要することもあると言います。

「描いているときは、それこそ夢中で疲れもありませんが、一つの作品を描き終わると、どっと疲れます」

絵筆ひと筋に歩みつづける永井さんの持続する志に拍手を贈ります。

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「永井等展」間もなく開催

3月31日から町立湯河原美術館で開催される「永井等展」に、私の事務所に掲げてある永井等さんの絵2点も出品することになっています。その準備のために永井さんがお連れ合いと一緒に事務所に取りに見えました。

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会期は4月26日まで。

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板壁にしっくりおさまっていて、当たり前のように存在感がありましたが、外してみると、うっすらと額の部分の色が白い。事務所を増築して間もなくのころに掲げて以来の空白です。

なんだか少し壁面の間が抜けています。しかし、大勢の人びとに見ていただく機会ですから、これもよしと、1か月半ほどのお別れを甘受しましょう。

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町立湯河原美術館「永井等展」のリーフレット作り

昨年12月21日、新横浜駅近くの「スペース・オルタ」で開催された梶谷泉さんの「丹沢今昔橅語り」でお会いした画家の永井等さんが夢工房にお出でになりました。

永井さんは、町立湯河原美術館で本年3月31日~4月26日に開催される「永井等展」の準備に追われています。そのリーフレット作りの打ち合わせに立ち寄られました。

リーフレットには永井さんの作品を次のように紹介しています。

「透明感のあるアースカラーで描かれた永井氏の作品には音がある。草木のざわめき、流水のせせらぎ。それは、見るものに生命(いのち)の詩を感じさせる。質感ある独特の絵肌は、アクリル絵の具に砂や石の粉などの自然素材を混ぜ合わせ、試行錯誤のうえに創り出されたものだ。今回の展示では、1993年から2011年制作の最新作まで、変遷を追った15点ほどの作品を公開する」

夢工房の事務所には、永井等さんの大きな絵が2枚飾ってあります。それも出品の予定です。

1968年生まれの永井さんのふるさとは茨城県ひたちなか市。ご夫婦で帰省の途中に夢工房に立ち寄られました。名産の「干しイモ」のお土産付きで・・・。

永井さんは東海大学芸術学科を卒業の後、画業ひと筋にここまで歩まれました。陰ながら応援させていただいた者として「永井等展」の開催は嬉しさがこみあげます。

詩情あふれる永井ワールドをお楽しみに!

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梶谷泉さん「丹沢今昔橅語り」上演

12月21日、満月の夜、新横浜駅近くの「スペース・オルタ」で影絵夢幻語り「丹沢今昔橅語り」の上演がありました。あいにくの小雨模様で、月は姿を見せませんでした。開演直前に到着すると、会場は多数の参加者でほぼ埋まり、静かに開演を待っていました。

スペース・オルタは、階段状の96の客席を有する小演劇の舞台。演者は、丹沢の自然保護運動の先頭に立っていたブナ党の初代党首で、生命の環・むすびの衆の梶谷泉さん。原作は梶谷泉さん著作の脚本『丹沢今昔橅語り』(2008年12月、夢工房発行)。影絵の制作も梶谷泉さんです。

この日の演目は、「刻之河月舟之旅路」。さきの脚本を1時間半ほどに再構成し、ブナの巫女(梶谷泉)が語り、薩摩琵琶の奏者、仁恵依舟さんがお相手をつとめられました。

案内には次のように紹介がありました。

「江戸時代の原生の自然の中に生まれたブナが天変地異や、人間社会の変容に伴う諸々の辛苦を味わいながら、草木鳥獣虫魚、人の思いを代弁します。

時代は黒船来航から明治維新へ、富国強兵の理想が招く戦世、そして、戦後の欲望の時代では、大気汚染によるブナ枯れとその中でブナ爺も死を迎え、願うのは永遠の生命の循環です。

影絵に映し出されてくる、刻一刻と変わる時の流れを、一人芝居風な語りと臨場感あふれる演奏・謡いにて聴かせます」

映し出される影絵、仁恵依舟さんの演奏・謡いとの絶妙な間合い。丹沢の自然を見守りつづけてきたブナ爺の思いを、ブナの巫女・梶谷さんが言の葉に載せて伝えます。

これまで2回、梶谷さんの「ブナ語り」を鑑賞さていただきましたが、さらに濃密な時間・空間が描き出されたように感じました。

自然を冒涜するものは、大いなる自然の反逆を受け、天に唾する者はわが身にそれを受ける。人間が手を下した自然破壊を止めるのは、私たち人間しかいない。

自然との付き合い方に想いを馳せ、梶谷さんのメッセージを実感させてくれた語りでした。

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上演を終え、影絵の操作を担当してくれたメンバー、仁恵依舟さん、梶谷さんのあいさつ。これまでと違うステージへまた1歩、足を踏み出してくれることを予感させる「夢幻語り」でした。

会場には旧知の顔がチラホラと見えました。画家の永井等さん夫妻、写真家の鈴木澄雄さん、この日の映像担当の写真家・小林恵さん、秦野ビジターセンターの長縄今日子さんなどなど。

鈴木さん、梶谷敏夫さんに声をかけられ、打ち上げにお付き合いすることに。

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寒波の夜、おおぜいの仲間たちと梶谷泉さんの想いに寄り添い、楽しいひとときを過ごすことができました。

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ギャラリー「ぜん」で西巻一彦彫刻展開催中

秦野日赤病院前のギャラリー「ぜん」で「西巻一彦彫刻展」が11月10日から18日まで開催されています。これまでの西巻さんのテーマとは少し趣を変えて今回は「祈りのかたち」。

案内のはがきに記された作者のメッセージです。

「私を取り囲む環境や人々、人としてどう歩み、生きるべきか? また、豊かな生き方とは? 今回の展覧会は、私自身の祈りの心を石に刻み託してみました」

ギャラリー「ぜん」のドアを開けると、穏やかな空気が流れていました。

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西巻さんとそのお連れ合いさん、旧知のギャラリーの多賀薫さんがいらっしゃいました。さっそく西巻さんの作品を拝見しました。

西巻さんの「祈りのかたちは」は、穏やかな石仏の姿を現わしていました。小さな羅漢さんは、孟宗だけの上にそっとお座りです。大きな仏足は黒い玉石の上に天を指しています。そっと寄り添う石仏は道祖神のようでもありました。

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西巻さんの祈りは森羅万象、自然や暮らしの営みの中に明るく宿っているのかもしれません。

西巻さんは自身を「石彫家」であると言われます。石に命を吹き込みつづけ、いつも新しい心象世界を創り出しています。

出版というものづくりの世界に足を染めている私自身は、西巻さんの横溢する感性にいつも刺激を受けています。20年以上に及ぶ西巻さんとのお付き合いは、さらに年を重ねてつづくことでしょう。

ますますの飛躍を「祈り」ます!

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丹沢美術館で「永井等展」開催中

11月11日、仕事の帰りに秦野市寿町にある「丹沢美術館」に立ち寄りました。9日から始まった「永井等展」が14日まで開催中。2階にあるギャララリーのドアを開けると人の声。どうやら来客中です。

永井等さん本人と岡進さんご夫婦が談笑中でした。昨日はとあるところで岡さんのお連れ合いさんとお会いしたばかりでしたが、その翌日このギャラリーで岡さんと出会うとは・・・。ご縁がよほど深いのでしょうか。しばらく四方山の話に興じました。

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永井等さんは現在湯河原町に在住。「物語」のある絵を描きつづけています。

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今回の大作「森に眠る」F100の前で、創作の技法と喜びを語る永井さん。

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永井さんの絵は夢工房の事務所にも2枚掲げてあります。来年、湯河原で開催予定の個展の際には、初期のころの永井さんの絵も展示したいとのことで、我が事務所の絵も十数年ぶりにおおぜいのファンの方々のお目にとまることでしょう。

永井さんの絵のこれまでとこれからの軌跡も楽しみです。

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木下尊惇さんプロデュース「しあわせの架け橋」コンサート

8月8日(日)午後、秦野市文化会館小ホールで開催された「ラテンアメリカ音楽コンサート」を聴きに出かけました。プロデュースしたのは、秦野市在住の音楽家・木下尊惇さん。

「中南米の人々を考える会」が主催、秦野市市民自治振興課・「東南アジアの人々と共に歩む会」が共催しました。当日のプログラムの「あいさつ」には次のようなメッセージがあります。

「秦野市の外国籍市民は3,586人(平成22年3月末現在)。その内、南米の方々は、約1,500人です。1990年6月、入管法が改正され、日系人に在留資格が付与。就労も自由化され、早20周年です。

そこで、この夏、南米の文化紹介を考え、市内在住の音楽家木下尊惇さんの力を借りてコンサートを企画しました。演目は、ブラジル、ボリビア、パラグアイの音楽ほか、その他の国々にもできるだけ配慮しています。出演者は、それぞれ選りすぐりの演奏家集団です。

皆様とラテン・アメリカの音楽を一堂に会して聞き、共感して喜びを分かち合えれば「架け橋」の一つと考えています」

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開演前の長蛇の列。「中南米の人々を考える会」代表の今福清司さんも会場入口でお出迎え。テーマは違っていても秦野でNPO活動を20年続けている今福さんの人となりは伝え聞いています。めったにお会いしないのですが、会えば声を掛けます。

「おめでとうございます。大盛況でよかったですね」

「ありがとうございます。チケットは完売していましたが、この暑さで年配の方々の出足を心配していました・・・みなさんのおかげです。自由席ですので空いている席で楽しんでください」

穏やかな物言い、柔和なまなざし、外国籍の人々とのコミュニケーションの苦労を感じさせない意志の強さを秘めた今福さん。

開演が迫るころには500席近い会場はほぼ満席。南米の国々や人々の歴史・音楽を紹介しながらコンサートが始まりました。

1部、2部に分かれ、ペルー、ボリビア、パラグアイ、ベネズエラ、ブラジル、メキシコ、コロンビアの音楽が25曲。

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ギター・チャランゴ・ボーカルの木下尊惇さん、アルパの上松美香さんです。

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プロの演奏家たちの研ぎ澄まされた技とマインドに圧倒されました。南米の人々の悲しみや喜びが音楽として伝わってきました。イルマ・オスノ・イジャネス(ボーカル・パーカッショウン)さんの高い歌声が会場を震わせました。

1部を終えた演奏家たち。左から、クラウディア・ゴンサルベス(バイオリン・パーカッション)さん、菱本幸二(ケーナ・シーク・パーカッション・マンドリン)さん、木下さん、上松さん、笹久保伸(ギター)さん。

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休憩時間の会場です。

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2部の演奏は、渡辺隆雄(トランペット・フリューゲルフォルン・パーカッション)さん、小澤敏也(パーカッション・ボーカル・ビリンバウ)さん、渡辺亮(パーカッション・ビリンバウ)さん、和泉聡志(エレキ・ギター)さんが加わりました。

ブラジルのサンバやメキシコ・ベネズエラ・コロンビア・ペルー・パラグアイ・ボリビアの伝承曲に合わせて手拍子が会場に響き渡りました。言葉の壁を越えて、音楽は世界の共通語だと改めて実感。

木下さんは、出演者の紹介にあわせて、「私とトランペットの渡辺さんは丹沢ドン会のメンバーでもあります」と、音楽の世界と地域における米づくりなどの活動・自然体験がつながっていることをメッセージとして発信しました。

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すべての演奏が終わり幕が下りても会場の拍手はやみません。「アンコール!」の声が掛かりました。

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会場後方からパンデイロを打ち鳴らす十数名の若者たちが突然入場しました。サプライズの演出に会場のみんなはビックリ。

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舞台の上で最後の共演です。木下さんの声掛で集まってくれた演奏家たち。国を越え、人々の心をむすぶ音楽を堪能しました。

さまざまな国の人々が暮らしを営んでいる秦野のまちで「しあわせの架け橋」づくりが始まっていると実感した真夏の1日でした。

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ギャラリー「ぜん」の多賀薫さん

秦野の日本赤十字病院の近くにギャラリー「ぜん」があり、さまざまな企画展を開催しています。先週は佐藤勝信さんの「星竹アート」の企画展があり、出かけてきました。

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竹は朽ち始めるとき、さまざまな星の形を出現させます。ナチュラリストの佐藤さんは、自然界の不思議をアートにする特異な人。自然の織りなすこの技を「星竹」と名づけてアートにしました。

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一つひとつの星竹の表情に思わずニンマリさせられます。

ギャラリー「ぜん」のプロデューサー多賀薫さんは、秦野市内外のアーティストのネットワークをフルに活用して、これまでさまざまな企画展を開催しています。彫刻家の西巻一彦さん、陶芸の岡進さんなど、丹沢ドン会の仲間たちも何回かここで展覧会を開いています。

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丹沢山ろく・ギャラリー「ぜん」の多賀さんのアートフルな活動に注目です。

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